日本語ではあまり意識されることのない 人称 、スペイン語ではとても重要です。
今回は、スペイン語の人称とはどんなものか、どうして重要なのかを説明します。
まず、人称 という言葉、おそらく中学校や高校の英語の授業で聞いたことのある言葉だと思います。
英語では動詞の 3 人称単数形には -s や -es をつけますね。
ご存知かもしれませんが、簡単に一般的な人称のおさらいを。
1 人称とは話している人、語り手のことです。
2 人称とは聞いている人、聞き手のこと、
そして、 3 人称とはそれ以外の人、第三者のことです。
つまり、日本語にするなら、 1 人称は私・私たち、 2 人称は君やあなた、君たち・あなたたち、
3 人称は彼、彼女、彼ら、彼女たち+動物や物などです。
さらに、以前の記事「スペイン語の性と数の一致 」でも触れましたが、単数・複数の違いも重要です。
こちらも、日本語ではあまり意識されませんが、
上の例では、私は 1 人称単数、私たちは 1 人称複数といった具合です。
では、それぞれスペイン語でどう言うのか、表にしてみました。
単数 | 複数 | |
1人称 | yo 私 | nosotros / nosotras 私たち |
2人称 | tú きみ | vosotros / vosotras きみたち |
3人称 | él 彼 / ella 彼女 / usted あなた | ellos / ellas / ustedes 彼ら、彼女たち、あなたたち |
1 人称・ 2 人称複数の nosotros と nosotras 、 vosotros と vosotras 、
それぞれの言葉の違いについては「人に関する名詞」をご覧ください。
ここで、注目してもらいたいのは3人称に配置されている usted と ustedes です。
日本語での意味は、「あなた・あなたたち」なので、意味の上では 2 人称ですが、
スペイン語では人称によって動詞を活用し(「動詞の規則活用」参照)、
この usted, ustedes は 3 人称と同じ活用をするので、便宜上、 3 人称として分類しました。
では、もう少し詳しく、usted と ustedes について見てみましょう。
まず、tú, vosotros /as と usted, ustedes の違いについてです。
tú は主に親しい間柄で使われるので、日本語では「きみ」に近い言葉です。
反対に、usted はかしこまったシチュエーションなどで使われるので、「あなた」に近い言葉です。
この usted, ustedes は日本語の敬語に似ています。
というのも、スペイン語は人称によって、動詞を活用するので、動詞の形を見れば主語が一目でわかります。そのため、聞き手に敬意を払って話をするときには、 usted, ustedes を主語として、 3 人称で活用するのです。
例) ¿Habla usted japonés? あなたは日本語を話しますか。
例) ¿Hablas (tú) japonés? きみは日本語を話す?
Usted, ustedes の活用が 3 人称と同じである理由は不確かですが、「 2 人称と区別するため」や、「かしこまった間柄=距離のある関係≒第三者」などの理由ではないかと推測します。
スペイン語を習い始めるにあたって、主となる動詞の活用に欠かせない 人称 。
この記事で少しでも理解が深まれば、嬉しいです。